LLM

NYU Law授業総括

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記憶が薄れないうちに、9ヶ月の間に受けた授業を良かったものから順に主観で勝手にランク付けしてみようかと思います。

Restructuring Firms and Industries (Yermack:2008春)
ビジネススクール(NYU Stern)との共催の授業。アメリカ内外で起きている様々なM&Aを法律的な視点のみならずビジネススクールの視点からも紐解く。教授はPEファンドのビジネスモデルを説明した上で、ビジネスとしては虚業だと正面からばっさり切り捨てたりする痛快な人だった。世で起きている様々なディールを多角的な視点から理解するために有益な授業。M&A実務に関わる人には一押しかと。

Surveys of Securities Regulation (Choi:2007秋)
アメリカの証券取引法を横断的に解説する授業。前評判が高かったので期待していたが、期待通りの授業だった。途中からPublic Offeringの細かいルールに入っていくので授業についていくのはなかなか大変だが、Reg DやRule144/144Aなどのルールが実務的にどのように使われているのかにも言及があり、非常に参考になる。アメリカの証取法は渡米前の実務でも出てきていた(日本企業による海外子会社・関連会社幹部へのストックオプションの付与等)が、これを受けたことによって理解が深まったという意味で有益な授業だと思う。

Antitrust (Leslie:2008春)
これも前評判の高かった授業。かなりのスピードで喋る点はChoiの授業と似ており、ついていくのは大変だが、アメリカの複雑怪奇な独禁法を歴史を辿ってケース毎に丁寧に解説してくれる。独禁法の大枠の考え方(市場の確定等)はおそらく日本と大差はないかと思うので、実務的にも後々役に立ちそう。

Financial Instruments and Capital Markets (Rechtschaffen:2008春)
ちょっと専門性を広げてみようかと思って受講した講義。UBSのカウンセルの人が教壇に立ち、Federal Reserveの役割(FedがDiscount Window等を通じていかにマーケットを規律しているか)やCFTCの存在意義からキャピタルマーケットに存在する様々な金融商品(デット、エクイティ、スワップ・オプション等のデリバティブ)の機能について解説する。デリバティブに関しては門外漢の私でも分かりやすかったので授業としてはよかったが、これを受講してから「自分にはデリバティブは向かないだろうな」と思った。

Mergers and Acquisitions (Gordon&Katz:2008春)
前評判の割にはがっかりすると聞いていたが、M&Aに携わる実務家としてはそれなりに得るものは多い授業だと思う。実際の案件で使用された合併契約書を使用して各条項(昨夏まで盛んだったPEディールの契約書によく盛り込まれていたMatch RightやReverse Break-up Fee等)の機能を逐一解説しているところなどは、自分が関わらない案件の契約書をそこまでしっかり読み込む機会はなかなかないという意味でよかったと思う。実務が忙しいのか両講師に教えることに関する情熱がそれ程感じられないのがマイナスポイントか。

Corporation (Allen:2007秋)
Delawareで有名だった元裁判官による授業。試験前に復習する際に実は授業で説明していないところが散見されてカバーするのが大変だったが、自分が下した判断について裏話を披露したりと授業としては面白かった。ここで学んだことはYermackやM&Aの授業で生きた。

Venture Capital (Dewolf:2008春)
講師は自らVCを運営する弁護士。アメリカのVCがどんな感じで活動しているか(Start-upの投資から投資契約の詳細、Exitまで)をざっと概観する授業。Reg DやRule144などにも言及するが、全体的に内容は浅い。もっともアメリカのVCがどのように活動しているかを知るという意味では良かったと思う。

Corporate Finance (Siegel:2007秋)
コーポレートファイナンスをある程度知っている人にとってはそれ程得るものは多くはないが、「Distress状態にある会社ではBondholderが会社の実質的な所有者になり、株主はOut-of-moneyのオプションホルダーになる」等のオプションの話はYermackの授業などでも出てくる話であり、コーポレートファイナンスをざっと理解するにはよいのではないかと。教科書は高いが平易で分かりやすい。予習の負担も(前提知識がある程度あれば)軽い。

Professional Responsibilities (Nelson:2007秋)
MPRE対策と思って取ったが、基本的にJD向けの授業(LLMは恐らく私のみ)で、予習も不要のお気楽授業だった。陪審制の生い立ちやAfrican Americanの弁護士がいかにしてアメリカの社会で地位を築いてきたか等、歴史的なことを知る授業としてはそれなりに面白かった(が、MPRE対策には全くならなかった)。

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卒業

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試験を終えた後に3日ほどカンクンに遊びに行っておりましたが、ロースクールを卒業しました(後期の試験の結果が出ていないので確定はしていませんが)。

5月14日にはヤンキースタジアムで全校の卒業式があり、

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今日5月21日はマディソンスクウェアガーデンでロースクールの卒業式でした。

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9ヶ月のコースは振り返ってみればあっという間でした。何を身につけることができたのかは現時点ではよく分かりませんが、実務に復帰したらここで学んだ何かが生きていると感じることがあるのかもしれません。

卒業式が2度あった関係で完全な勉強モードには入っていなかったのですが、15日から既にNY Barのための予備校(Barbri)の授業も始まっているので、Barのある7月末までは司法試験受験生の時代以来の久々な勉強モードに入ります。

しばらくは旅行もお預けですが、Barが終わった後には友人と共にアメリカ横断ドライブ旅行を計画中です。

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Diversity

ロースクールはどこもDiversityを重視しており、LLM生は世界各国から来ているところが多いかと思いますが、自分の国のことを誤った視点で説明されると気分はよくないですよね。

先日受講していたYermackの授業ではProxy Votingについて議論していたのですが、その中で「日本は(先進国であるにも関わらず)Proxyというコンセプトがなく、株主が議決権を行使するためには株主総会に出席しなければならない。そして上場会社の株主総会はほとんど同じ日に開催される(何だか遅れてるよね~というニュアンス)」という説明がなされました。

さすがにこれには黙っていられなかったので、

「日本にもProxyの制度はあるし、Proxy fightだってある。上場会社の株主総会が特定の日に集中しているのは、総会に出席して嫌がらせをする総会屋がかつて多く存在したため、総会屋対策のためにそうしているに過ぎない」

と説明したら、Yermackはたいそう驚いていました。

Antitrustの授業では、「スイスは独禁法の整備が遅れているから、カルテルなんてやり放題だー。みんな、カルテルしたいならスイスに行こう!」と教授が発言したところ、「何だよそれ!」というニュアンスで両手を広げている学生がいました。恐らく彼はスイス人なんでしょう。

本日のYermackの授業はコントロールプレミアムについてでしたが、ここでは「まぁみんな色々と思う部分はあるかもしれないが、Common lawの国々の方が会社法が整備されており、判例も豊富なので、コントロールプレミアムが小さい。対して会社法が整備されておらず、司法制度も未熟な国々はコントロールを手に入れれば「やりたい放題」になるため、コントロールプレミアムが大きい」などという説明がされました。

諸外国の制度を熟知した上でこういった説明をしているのであればよいですが、Yermackのように誤ったことを言っていることがあるので、聞いてる身としては危うさを覚えますね。

ちなみに世界各国で株式がブロックで譲渡される場合に支払われるコントロールプレミアムの平均値が説明されていた際に、日本だけ数値がマイナスだったため、「あれはなんでだ?」という学生の質問に対してYermackが満足に答えられていなかったため、「日本ではTOBルールとの関係で株式をブロックで譲渡するのが難しいことがあるので、市場価格より低い価格でTOBをローンチし、事実上ブロックの買い手しか応募しない状況にしてブロックを譲渡することがあるためにマイナスの数値になってるんだと思うよ」と説明したら、「市場価格より低い価格でTOBがローンチされるなんてシンジラレナーイ」といった感じで皆驚いていました。

ところ変われば法律も変わり、ある人達にとっては信じられないようなことが他の制度の下では起きるんですね。きっと日本人である私にとって信じられないようなことも世界のあちこちでは起きているんだろうなぁ。

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OPT

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(China townの歩道に無造作に貼ってあったシール。本文とは全く関係ありません。)

ロースクール生活も早いもので残すところあと2ヵ月半ほどとなりましたが、ロースクールを出た後もアメリカに滞在するための制度としてOptional Professional Training(OPT)という制度があります。

これは、専門的な教育を受けた学生が、アメリカで受けた教育をベースにアメリカで一定期間働けるように設けられた制度です。ロースクールを卒業すると学生ビザであるF-1のステータスが失われてしまいますが、これを申請すると卒業後大体1年くらいはアメリカに滞在することが可能です。申請して承認されれば、実際には働かなくてもステータスが失われることはないそうですが、その期間中にアメリカから出国してアメリカに再入国する場合には、入国審査官対応に注意が必要とのこと。要は、永住する意思があるんじゃないかと思われてしまうと、水際で入国拒否されてしまうことがあるということのようです(なので、仮にぶらぶらしている身分であっても、再入国の時には「研修先を探していてインタビューがあるから再入国する」というようなことを言っておくと怪しまれなくて済むとのコト)。

日本を離れるまでビザの重要性などは全く認識していなかったのですが、ちょっと気を抜くとビザのステータスを失効させて不法滞在になってしまうので、結構センシティブな問題です。入国の際の審査官のミスによってステータスが失われてしまうこともあるようですし。

私はNY Barを受けた後ロンドンで研修するので、340ドルもかかる(ちなみに昨年までは160ドルだか180ドルだったそうです)このOPTを申請する意味があまりないのですが、F-1ビザが失効した後のGrace Period(ビザ失効後この期間内に出国しなさいといった趣旨の猶予期間)が丁度Barの試験辺りで切れてしまうので、その後の引越し→出国のための数週間のアメリカ滞在のためにこれを申請しなければならないようです。勿体ない・・・

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今年の卒業式

例年NYUの5月の卒業式(Commencement)は、大学の建物が集中するエリア(NYUはキャンパスがなく、街の一角に大学関連の建物が集中してNYUエリアを構成しています)の中心にあるWashington Square Parkで行われていたようです。

Washingtonsquarepark

(写真はWashington Square Parkの公式サイトより拝借。秋にはObamaが演説に来ていたようです。)

ところが現在Washington Square Parkは全面改装工事中で、立ち入りが禁止されています。

どうやらこの改修作業は卒業式のシーズンまで食い込むそうで、大学側は代替施設を探していたそうです。

その結果・・・

なんと会場がヤンキースタジアムになったとのこと。

びっくりです(新球場か旧球場かははっきりしませんが)。

みんなでアメリカ国歌でも斉唱しようものなら、気分はまるで松井ですね。

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LLM履修科目(2008年春)

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(写真はNYUのサイトより拝借)

今学期の履修科目は以下の通りです。Corporationの学生が取りたいと思わせるコースが春学期は比較的少ないため、同じような授業に学生が集中している印象を受けます。

Antitrust (Leslie)

人気授業で、教室は生徒で満員。教授は小さな人だがえらいパワフルで頭の回転も速く(よってしゃべるスピードもかなり速い)、判例を一つ一つ丁寧に解説する。予習も一回につき20ページほどで大した負担ではない。

独禁法に関する有益な視点を提供してくれる授業であることは間違いないと思う。

Mergers and Acquisitions (Gordon & Katz)

M&Aにも強いワクテルリプトンの現役パートナーが2人で進める講義。前評判の高さの割にはちょっとがっかりだったという声を諸先輩方から聞くが、法制度の説明部分は今のところさすがという感じ(もっとも「あぁこれががっかりさせる部分か」という面も若干垣間見える)。

初回の授業で資料を一式CDロムの形式で配布し、AssignmentはCDロムからプリントアウトして予習する。リプトン氏直々の2008年の展望に関するメモなども入っており、普段ででは手に入りづらい(そして内容的にもかなり参考になる)資料に目を通すことが出来る点は大きなメリットと思われる。

Venture Capital (Dewolf)

月曜1限の授業で、先輩方のレビューでは「内容が浅かった」と酷評されていた。たしかに授業で話す内容はそれ程深くはない(前回は授業を20分くらい速く切り上げてしまった)が、講師は自らもVCを運営する現役の弁護士であり、学生の方から積極的に質問を投げかければ現場の話をしてくれ、大変有益である。

講師と個人的に親しくなってみたら面白いかなぁと狙っている。

Restructuring Firms and Industries (Yermack)

ビジネススクールとの共催の授業。学生はビジネススクール・ロースクールから半々くらいという印象。

授業のスケジュールがビジネススクール(Stern)のスケジュールに沿って進められるため、開始がロースクールのスケジュールより2週間遅れで、そのため最終授業はロースクールの試験期間に食い込むらしい。

もっともこの授業も人気授業で、前回の授業ではAgency Costについて実例に基づき丁寧に説明してくれた。「実務で役立つ有益な視点が身につく」というのが先輩のコメントだが、確かに得るものが多そうな授業である。

Financial Instruments and Capital Market (Rechtschaffen)

UBSのCounselである弁護士が講師。基本的にはFinance的な話が多く、個人的にはちょっと畑違いな感じだが、様々な金融商品が実務でどのように機能しているかを丁寧に説明しながら進めていく。最初の数回はFRBの金利政策やサブプライム問題についての説明で、これからCredit Derivative Swapなどの複雑な金融商品の解説に進んでいく模様。

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LLM履修科目(2007年秋)

Flowers3 (写真はNYUのサイトより拝借)

LLMの履修科目は、実際にどんな教授が行うか分からないまま、授業内容のサマリーを眺めるのみで渡米前にオンラインで届け出ることになります。

どんな教授か分からず、授業の評判に関する情報もないまま履修届を出すのはなかなか大変ですが、私は色々な方のブログに掲載されている情報を参考にさせていただいていたので、今回は私の履修科目に関する情報を提供しようかと思います。

履修届は渡米前のタイミングで登録する必要がありますが、実際に授業が始まってから履修科目を変更するチャンスはあるのであまり心配する必要はありません。どんな人気科目でも履修変更の〆切直前のタイミングで追加登録のチャンスが与えられることが多い(のではないか)と思うので、第一弾の履修登録で思わしくない結果だったとしても挽回のチャンスは残されており、あまり心配する必要はないと思います。

ちなみに私の所属はCorporationです。

Corporation(Allen)

Allenは元The Delaware Court of Chanceryの裁判官であり、現在はワクテル・リプトンのオブ・カウンセルかつCorporationのLLMプログラムの責任者でもある。授業で使用するケースブックには彼が書いた判決が度々登場するが、「これは上級審でひっくり返された」とよくコメントしている。

以前のエントリーでも触れた気がするが、Allenの特徴を一言で言えば「面白そうなおっちゃん」である。授業での語り口も面白く、脱線することも多い。昨日のレセプションで聞いた話では彼の授業は学生の間で賛否両論あるようだが(ノートをちゃんと取りたい学生にとっては話の方向があちこちにいってしまうのが不評らしい)、気楽に聞いていられるので私は好きである。

授業内容はムラがあるように見受けられる。気合を入れてしゃべるところでは「おぉなるほど」と思う部分もある(外部講演で使用したパワーポイントを使って講義することもあり、そういう部分は「おぉ」と思うことが多い)が、流し気味なところはさらっと行ってしまう(Derivative Suit辺りのところは「簡単だからもうみんな分かったよね」みたいな感じでさくさくいってしまった)。

M&Aに関する授業は最後の方なので、乞うご期待といったところか。日本で買収防衛策発動の事例(ブルドッグ)が出たので、授業がM&Aに差し掛かったら彼のオフィスにいって話を振ってみて、デラウェアの元裁判官の目から見てブルドッグの件がどのように見えるかを聞いてみようかと考え中。

Survey of Securities Regulation (Choi)

前評判の高い授業だが、実際受けてみて前評判どおりの授業であると思う。アメリカの証取法を明快な語り口でさくさくと説明し、ウィットのきいたJokeも飛ばすので授業を聞いていて飽きることがない。

もっとも授業中盤辺りに差し掛かる(まさに今)と、証取法の複雑に入り組んだルールを早口で説明しだすのでその点は大変である。ここに来るともともと早い語り口がエスカレートしてマシンガンとなり、必死でついていかないと取り残されそうになる(私の隣の席のインド人は既に取り残され気味でやる気が失せつつあるのがありありと見て取れる。お前の母国語は英語なんだから頑張れといいたいところだが)。

日本にいる間「日本の証取法はもっと読みやすくできないものなのだろうか」と思っていたが、アメリカの証取法のPublic OfferingのSafe Harborを読んでいくと、「証取法が難解なのはどこの国も一緒なんだな」と諦めがつく。

Corporate Finance (Siegel)

60も後半に差し掛かったおじいちゃんによる授業である。使用する教科書が分かりやすく、語り口も面白いため、ゆるーい気分で授業を受けられる。

授業内容自体はコーポレート・ファイナンスの基礎を知っていればどうということはなく、教科書を読めば済む話ともいえるが、春学期にBusiness Schoolの授業を履修しようと思うとCorporate Financeの履修が必須となっている。

ちなみに私がオススメするコーポレートファイナンスの入門書はこれ↓である。修習時代に多くの人が簿記を勉強する中、「仕分なんか勉強してもしょうがないだろう」と思い私はこれを読んでいた。

MBAファイナンス

感想:
事例を織り交ぜて説明しており、入門書としてはとっつきやすいと思われる。

おすすめポイント:
コーポレートファイナンスの基本を勉強ではなく読書感覚で学べるところ。

MBAファイナンス

著者:グロービスマネジメントインスティテュート

MBAファイナンス

Professional Responsibility (Nelson)

NY Barを受けるためにはCorporateの科目ばかり履修していてはダメそうだと思ったので、Barに役立つかもしれないと思い履修。初回の授業で「Barには役立つの?」ときくと「一切役に立たないし、必修でないLLM生が取る授業じゃないよ」と教授に返される。しかし教授の語り口は面白そうで、まぁ何だか分からんまま履修してしまったのも運命なんだろうと思い受け続けている。

授業内容は弁護士倫理に関する話をするはずなのだが、アメリカにおける司法制度の生い立ちなどを語っている。もっともこの話が面白いので、歴史の授業感覚で受講している。陪審制の成立過程などを聞いているとなかなか興味深い。

Reading Assignmentはあるが、初回の授業で「Assignmentからは試験を出さないよ」と明言していたので、興味のある部分だけ読んでいる。週二回の授業のうち1回を講義に費やし、もう1回を課題を割り当てられた学生が出したPaperを元に課題についてクラス全体で議論する形式。

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秋学期開始時に「英語が母国語でないLLM生は12単位にしておくことを強く勧める」といわれましたが、私は14単位履修しています。予習がきつい科目ばかりで12単位以上取ると確かに大変かもしれませんが、お気楽な授業も含めればそれ程ひどい事態にはならないのではないかと思います。もっとも私は「海外在住経験アリ+英語を使用する職場環境で3年半もまれて」おり、大変さは個々人の英語の能力に大きく拠ると思われる点はご注意下さい。

以上参考まで。

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浅知恵

FRBの利下げについて書いたところ、知人の専門家(Mr. Island)からメールにて鋭い突っ込みを頂きました(ありがとうございます)。

以下ちゃっかりそのまま引用させていただきます。

株式価値算出のための配当割引モデルを勉強したみたいですな。DCF(ディスカウントキャッシュフロー)法における金利(ディスカウントレート)は、何年先のキャッシュインフロー(配当)かに応じて、その年限の金利(ディスカウントレート)を使うと仮定させてくだされ。

現状の米金利が逆イールド(一般には、金利は期間の長い方が高くなるので、縦軸に金利の高低/横軸に期間をとると、右上がりのイメージになるんだけど、それが、右下がりの状態)になっている(将来的に景気が減速する可能性が高い場合に生じる現象。

つまり、将来の金利低下を織り込んでいる)ので、今回の短期金利の利下げによるサプライズは、金利の世界では、中長期金利の上昇(つまりは、景気の再加速期待等)に繋がったんだ。

DCF法において影響力の高い中長期金利の上昇は、株価の現在価値が下落する方向で作用したハズじゃないかな(笑)

つまり短期金利の低下→中長期金利の上昇→株価の現在価値の下落

という流れのようです。

この点については、教授が

「短期金利の低下がそのまま割引率の低下に繋がるとすれば」

というような前置きで(さらっと)話していたような印象があります(授業ではちょっと気になったのですが)。

「ロースクール生には細かい話をしても仕方がない」とでも思ってその辺の話を端折ったのでしょうか。しかし端折るにしても結論が全く違う方向に導かれる端折り方はちょっと困りますよね。「ふーんそうなんだ」と思って聞いてしまったので。

ただ端折るのには理由があるのかもしれません。

これは私が小学生時代の海外生活で感じたことなのですが、

「外人は算数がとっても苦手な傾向が強い」

ことによるのかもしれないな、と思ったのです。

私は小学生時代を北欧で過ごしたのですが、当時通っていたイギリス系の小学校で私は算数をごりごり飛び級して小学5年生の段階で既に高校生くらいの教科書をやっていました。

算数の時間だけ一つ上の学年に混じって授業を受けていたのですが、向こうの学校は同じ授業を受けていてもそれぞれのレベルによって全然違う教科書を使うので、私は一学年上の飛び級のクラスのレベルをも飛び越えて教科書を特別に取り寄せてもらってそれをやっていました。

これだけ読むと私が超秀才のように見えますが、何のことはない、これは

海外の算数の教科書のレベルがとっても低い

ことによるものです。

遠い記憶をたどってみると、高校生の教科書でも、載っているのは単純なベン図の話だったりしたような気がします。

左の丸には3の倍数、右の丸には2の倍数が入るなら、オーバーラップする部分に入るのは6の倍数ですね

みたいな話です。

そりゃ小学5年生でもできますよね。

じゃあ向こうの小学5年生は算数で何してるかというと、一桁の九九をやっていたりするわけです。

そりゃ日本の小学生ならちょっと頑張れば飛び級しますよね。

という実体験から「外人は算数がとっても苦手である」という印象を私は持っていたのですが、ロースクールに来て改めてそれを感じたのは、Corporate Financeの教科書のとある下りでした。

その教科書は(170ドル(!)くらいするものの)内容はとても分かりやすいのですが、DCFの算定の説明をする箇所で

We have found that even the brightest beginning student can make errors here.

とか書いてあったりします。

どんな高尚な議論をするのだろうと思って読み進めてみると、

ダニエルさんが6年目から4年間毎年500ドルを受け取る権利を持っていて、割引率が10%の場合、その現在価値は幾らになるでしょう?

というような話だったりするわけです。

要は①6年目から4年間の500ドルの支払いを割り引いた上で、②それを更に6年分(1.1の五乗で)割り引かないといけないですよね。

で、どこが"brigthest student"が侵す間違いなのだろうかと思って読み進めると、

②を忘れる学生がとても多い

とか書いてあったりするわけです。

でもそれって理屈をちゃんと理解していればどうってことのない話ですよね?

そんな下りを読んで、小学生の頃を思い出し、「だから教授は『短期金利の低下→中長期金利の上昇』という部分を端折ろうとしたのかしら」と思ったりしたのでした。

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イチローと松井とウィリアムズとナダル

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NYで20年以上ステーキレストランNo.1の栄誉を維持し続ける老舗Peter Lugar(http://www.peterluger.com/)のプライムリブステーキ。ディナーだと数ヶ月先まで予約で一杯だそうですが、ランチだと予約なしで、しかも格安で最高のステーキを堪能できます。

さて。

私は現在大学のLaw Schoolの寮に入居しています。寮なので(住むのに不便はないものの)施設は古く、その割に家賃はべらぼうに高い(私は日本の山手線内で同じくらいの広さの部屋に住んでいたのですが、円換算で家賃は約6割増)のですが、エントランスで頻繁にNYの催し物のチケットを割引で販売しています。

現在はテニスのUSオープンが開催中であり、かつ来週にはヤンキーズ対マリナーズ戦がヤンキースタジアムで開催されることから、いずれも寮のロビーで並んでチケットをゲットしました。

いずれも待ち時間自体は3時間程度。3時間座って授業の予習をしていれば待ち時間は苦にならず、テニスのチケットは一枚20ドル、野球のチケットは一枚5ドルでゲットしました。テニスはセンターコートでヴィーナス・ウィリアムズと男子第二シードのナダルを見れるようなので、かなりテンション上がっています。Ny8_061_2

授業の方は当たり外れがあることが最近判明してきましたが、来週末までは履修登録をいじることが可能なので、可能な範囲で面白い授業を取ろうと画策中です。Corporate Financeの教授は前回のエントリーで触れたCorporationの教授と全く同じことを授業の冒頭で述べていました。アメリカでは弁護士が多いので、差別化を図り良質のクライアントを繋ぎとめるにはビジネスのことも分かっていなければならないと。日本もこれから弁護士の数が増えるに従って、否が応でもアメリカと同じ方向に弁護士の意識も変化させていかざるを得ないのだろうなぁと思ったのでありました。

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ブラジルとアルゼンチン

明日から本格的に授業が開始する。昨日はLLMコース全体のレセプションがあり、今日は私の所属するCorporationコースの学部長の挨拶とレセプションがあった。

Corporationの学部長さんはかの有名なワクテルリプトン(アメリカでポイズンピルを開発した事務所)に席を置いている陽気なおっさんWilliam Allen。挨拶の中でLawyerとしてFicnance,AccountingをはじめとしたBusinessに関係する知識を習得することの重要性を説いており、かつてからそのような考えを持っていた私は「やっぱそうだよな~」と自分の認識が間違っていなかったことを再確認する。

日本の弁護士はまだまだ「自分は法律の専門家だから法律のことだけ知っていればよい」という傾向が強いように思う。しかし、少なくともCorporate Lawyerとして第一線で仕事をするには、クライアントがどのようなLogicで動いているかを理解することが非常に重要であり、クライアントのLogicのベースにあるCorporate Finance等々の理解を(専門家レベルまでいかないまでも、クライアントが議論していることが理解できるベースまで)深めておくことは個人的には非常に重要だと思う。

「クライアントのニーズに応える」というのがこの業界の使い古された金科玉条だが、クライアントのニーズを把握するためには、クライアントがどのような思考回路に基づきBusiness上の判断をしており、どのような動機によって突き動かされているかを理解することが不可欠であり、そのようなプロセスを経ずに「ニーズに応えます」と唱えていても全く意味がない。

かつて私が修習生の時に国内大手の事務所を就職活動で訪問したときに、かねてからビジネス・経営に興味があった私はそのようにうたって事務所巡りをしていたのだが、某大手事務所の若手弁護士にそのような話をしたところ、その人に「でも弁護士って経営を知ってる必要ないよね」と言葉を返されたという非常に印象的な経験をしたことがある。

「経営とはなんぞや」という定義にも関わることだと思うが、弁護士だってパートナーになれば数十人から数百人単位の従業員を抱える組織の舵取りの一翼を担う存在になる。それが経営でないなら何を経営というのだろうか?そして「経営を知っている必要がない」とうたう弁護士がパートナーになって事務所を回していく立場に立った場合、果たして彼は上に立つ者としてきちんと組織を回していけるのだろうか?「どのようにすれば組織を構成するメンバーに最小限のストレスでスムーズに活動してもらうことができ、各人のパフォーマンスを最大限に発揮してもらえるだろうか?」という経営に対する基本的な考え方がないと、しっかりとした組織を構築した上でしっかりと回していくのはなかなか大変だと思う(しかし前述の例にも見られるように、そのような意識を潜在・顕在問わず業界内で持っている方は非常に少数派だと思う)。

Allenおじさんの話を聞きながらそのようなことを思ったのだが、その後のレセプションでは世界各国(ロシア、アルゼンチン、コロンビア、シンガポール、ブラジル、フランス等)の学生(といっても殆どの学生は自国で弁護士として数年間活動している)と話をした。その中でブラジルとアルゼンチンの学生と話をしたネタが非常に印象的だった。

なんでもブラジルとアルゼンチンはお隣様であることもあってか非常にライバル意識が強く、ブラジル人曰く「ブラジルは世界で一番のプレーヤーであったペレを擁していたので、世界で二番目のプレーヤーであったマラドーナを擁していたアルゼンチンよりも上なのだ」と誇らしげに語っていた。

しかし、そのブラジル人の彼は続けて、

「なぜかブラジルの女の子はみんなアルゼンチンの男を好きになるが、アルゼンチンの女の子はなぜかブラジルの男には見向きもしない・・」と嘆いていた。

頑張れ、ブラジル男児よ。男の能はサッカーだけではない。

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