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Microsoft、Proxy Fightに突入か

Yahoo2

Yahoo!が2月11日付でMicrosoftの1株31ドル相当の提案を「不当に安過ぎる」とするコメントを発表しました(プレスリリースを見る限りrejectという言葉は使っていないので、拒絶というのは若干ミスリーディングというコメントが受講中の授業内でありました)が、これを受けてついにMicrosoftがProxy fightに乗り出すようです。

Microsoft Said to Plan Proxy Fight for Yahoo http://www.nytimes.com/2008/02/20/technology/20yahoo.html?_r=1&scp=3&sq=microsoft+yahoo&st=nyt&oref=slogin

記事によれば、Microsoftが取り得る選択肢の中ではProxy fightが余りコストをかけずにYahooにプレッシャーをかけることができる方法ということで検討されているようです(ちなみに提示価格を1ドル上げるごとに買収コストは14億ドルずつ嵩むそうです)が、それにしても費用が2000万-3000万ドルというのは高いなぁという印象です。日本の実務でProxy fightも経験しましたが、金額が1桁違います。まぁ総額が4兆円を越えるディールなので、このくらいの出費で風向きを変えることができるのであれば安いものなのかもしれません。

対するYahoo!は新たな退職金制度を導入したそうで、これは買収後に従業員が退職する場合にはポジションに応じて退職後も基本給を4ヶ月-24ヶ月分支給するというプランのようです。

現在受講しているRestructuring Firms and IndustriesのYermack教授によれば、敵対的買収のターゲットとなった会社がGolden Parachute(現経営陣が退陣する際に巨額の退職金を支払うアレンジにすることで買収者を退けようとする防衛策の一種)を導入すると市場はディールが成立する可能性が高くなったと受け取るそうです(何故ならGolden Parachuteは実際に買収が成功した場合に発動される性質のものであるため、ターゲットの経営陣がこれを検討し始めるということは買収を受け入れざるを得ない流れの中での最後の抵抗と捉えられるから)。個人的には今回のYahooの退職金制度もこれと同列に捉えることができるような気がします。プレスリリースの中で明確に"reject"という言葉を用いなかったのもこの辺りとの絡みがあるのではないでしょうか。

もっともYahooの主要株主もMicrosoftによる買収自体は歓迎しているものの、価格にはまだ不満があるようなので、ディールの成立は価格次第で、単純にProxy fightを仕掛けるだけで事態を打開することは出来ないと思います。もっとも、Yahooに対するunsolicited offerを発表した2月1日からMicrosoftの時価総額は13.6%も下落しているので(既に時価総額にして買収提示額相当の400億ドル以上を失っている)、市場がこのディールに対して悲観的な評価を下している状況下でMicrosoftが価格を引き上げるのはかなり難しい判断になりますね。もっともProxy fightの風向きを見ながら「これはいけそうだ」という状況になった場合には最終的に提示価格を引き上げ、その結果Yahoo側も折れるというシナリオになるような気がします。

買うほうも買われる方もそれぞれの株主の利益を最大化するために最善と思われる行動を取らないといけないので、しばらくはギリギリのせめぎ合いが続きそうな印象です。

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