« 鳩になった気持ちで | トップページ | 突撃 »

弁護士の末路

Ny9_176

9月24日付のWSJに、アメリカの弁護士に関連する記事が載っていました。

要は、稼ぐ弁護士はとっても稼いでいるけどそれは一握りの連中の話で、弁護士業界を全体として見ると稼ぎのよい職業ではなくなりつつあるという話です。

記事によれば、NYの企業法務を取り扱うトップファームの初任給は160,000ドル以上が相場のようです(結構衝撃的な数字ですよね)。ロースクール生のブログなどを眺めると、サマーアソシエイトといって、ニューヨークのロースクール生などは実際に就職する前にローファームでOJTの研修を受けるのが通例のようですが(調べてみたところ私の事務所のNYオフィスにも一杯いるようです)、青田刈りをするトップファームは彼らに週給3000ドルを払うとのこと。また、ランチは1回75ドルまで事務所につけられるなど、(過酷な弁護士生活を始める前に)非常にバブリーな生活を束の間楽しむようです。

これに対して、まともな就職口を見つけられなかった学生は、弁護士資格を有しているにもかかわらず時給20ドルのドキュメントレビューの仕事を法律事務所で行うこともあるという、なかなか衝撃的な記事でした(ブログなどを見ると、地域によっては時給僅か9ドルのドキュメントレビューの募集などもあるそうです)。

WSJの記事によれば、インフレの影響を加味した後のGDPの成長と弁護士の提供するリーガルサービス業界の成長を1987年から20年間のスパンで比較したところ、GDPはその間75の%成長を遂げているのに対してリーガルサービスは25%しか成長していないとのこと。

にもかかわらず、2006年度にはJD卒業生の数は43,883人にも上り、更に増加する傾向にあること(そしてそれはロースクールの運営が他学部に比べてコストを低く抑えられることによるものであること)などが指摘されています。

アメリカのロースクールの授業料はかなりの金額なので、多くの学生は借金をしてロースクールに通います。卒業するまでに積み上がる借金の平均額は公立ロースクールで55,000ドル程度、私学のロースクールだと80,000ドルを超えるようです。

しかし、多くの学生は卒業後に借金を十分支払えるだけの仕事に就けない学生が多く、ロースクールの黄金時代は終焉を迎えるかもしれないというさるロースクールの学長のコメントも載っていました。

これは海の向こうの出来事に過ぎないと言えるのかもしれませんが、日本でも修習生の就職活動の動向に変化が見られるようです。

全国で働いている同期の仲間と話をする機会がある際に修習生の就職活動の動向の話を振ると、我々の時代であれば既にほとんどの人が内定をもらっていた時期に内定をもらえずに就職活動を続けている修習生が増えているように感じられるという答えがしばしば返ってきます。また、弁護士会の規模がそれほど大きくない地方では、ここ数年で急激に新規登録弁護士の数が増えたために、イソ弁の受入先が非常に少なくなっているところもあるようです。

私の同期は1000人ですが、今や司法試験の合格者が2000人前後になっていることを考えると(そしてその数は今後も増加する傾向が続くことを考えると)、アメリカほどの格差がすぐに生じる可能性は高くないにしても、「試験に通れば人生バラ色」な時代は既に終わりを告げつつあるのかもしれません。

|

« 鳩になった気持ちで | トップページ | 突撃 »

雑感」カテゴリの記事

コメント

今年僕の同期も何人か司法試験に合格して、おめでとー(いやおめでたいことは間違いないですよ?)なんて言ってたんですけど、

無条件にそうとも言えないようなこともあるんですねぇ。。。

ちなみに日本で合格者人数に対して弁護士さんを対象にアンケートがあったらしいですが、3000人に増やしていく方針を回答者の86・6%が不必要と考えているそうです。

投稿: kibe | 2007年10月 6日 (土) 08時47分

4つの國からなる島も、同じく弁護士急増中。どうなっちゃうんでしょ。思いっきり給料減でないと採るところなくなるんじゃないでしょうか。んで、低収入で喧嘩の代行など(ま、あくまでわれわれの職種ではですが)、、、と人材が他分野に流れていくような。。。いずれにせよ、おれは、転職する能力も気力もないから、突っ走るしかないですがね。ぁぁ、東海岸でゴルフしたい。。。それじゃぁぁ。

投稿: かえる | 2007年10月 7日 (日) 19時20分

>kibeさん

私もその記事を見ました。これですよね。

『司法試験合格「増加は不要」=業務拡大悲観的、危機感浮き彫り-弁護士アンケート』

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071006-00000059-jij-soci


全国2.3万人のうち1500人弱からの回答の集計結果をどれだけ重く見るかという話もありますが、弁護士が食うため・稼ぐためだけに訴訟が頻発している事態が存在しているアメリカの状況を見るにつけ、確かに弁護士の増えすぎが悪影響を及ぼすこともあろうかと思います(もっとも日本において弁護士の数がどこまで達すれば「弁護士過多」になるかはまた別次元の議論かと思いますが)。


>かえるさん

現場の状況に関する情報ありがとうございます。上述の記事では年間給与が400万円以下なら採用するという回答が70あったとのことですが、(1400の有効回答数と比べると小さな数ではあるものの)実際にそのような数字を聞いたこともあるので、随分状況が変わってきているみたいですね。

投稿: yutakataka | 2007年10月 9日 (火) 10時19分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/441270/8143079

この記事へのトラックバック一覧です: 弁護士の末路:

« 鳩になった気持ちで | トップページ | 突撃 »